天国の関昌家先生へ…

支援者:関  昌家 氏

元金沢大学准教授 医薬保健研究域保健学系
リハビリテーション科学領域作業療法科学領域
 平成22年4月逝去 享年65歳

リンク:ウィキペディア:関 昌家

amazon.co.jp-関 昌家氏

『リハビリテーションに対する行動学的方法―変化をとらえ変化をうながす』
『手と道具の人類史~チンパンジーからサイボーグまで』

『Whyの作業療法』

金沢大学医学系研究科保健学域
関昌家先生退官記念講演会誌 関連記述(40頁以降関連部分)抜粋

学習という意味は、何を学習させるか。
relearningなのかnew learningなのか、
それともconstruction、作り直す、組み立て直すのか。
一体自分は何を 患者さんにさせようとしているか。
患者さんは何をしたいのか。
そこを明確にしないと、学習、学習などと簡単にいっても何の意味もないです。

これは簡単に科学的にできてしまうのだから、
作業療法は科学ではないなどと議論することがナンセンスで、
もう作業療法は科学として成立しているし、
どこの分野にいっても議論できます。
議論できるアイテムがあるわけですから。
それを皆さんが持たないか、持つかは、今からの問題です。
今、私たちが何をやっているか。

Noveltyのもっともいいことで、
しかも新奇行動が最もいいということで、
実は金沢大学を定年退職した人がNPO法人を
立ち上げようと農作業をやっているのです。
ではということで、金大の患者さんで「行く人いない?」と、追い立てたところもありますが、
去年(平成21年)の6月からこのように農作業をやっています。

上の図は収穫祭で、みんなでいろいろ食べています。
実はこれはすごく重要なのです。
自分で作って、自分で行った結果が目に見えて、
しかも、行ったものを自分で食べるから、売れるから。
売れなかったら、自分のやったことが報われないわけだから、
何をするか、売れるようにどうするのかを考えなければいけないでしょう。
絶えず、Noveltyです。
行っていることは、すべて新しいことです。
農業と言うのは、すごく重要で、20年間やったからベテランだというけれども、ある人が言っていました。
「20年間って、20回しかやっていないんだよ」と。
たった20回でベテランと言えますか。
農作物は1年に1回だったら、
20年間やっても20回しかできないではないですか。
でも、うまく作れることは一度もない。
絶えずクリエーティブに何かを考えていかなければならない。
だから、そういう意味で言ったら、僕はこういうものはすごく賛成なのです。
自分で好きに出掛けて行って、
自分で作って、自分で結果が見えれば、そんなものは僕の知ったことではない。
たまに出掛けて、けちをつけるのが僕の仕事ですから。
今は少しずつですが、こういう人たちを増やそうと思っています。

それから、一つ僕には考え方が在って、
医療くささや医療者が管理すものは絶対に駄目だということなのです。
だから、僕はほとんど口出ししません。
もう一つ大事なことは、こういう金大の人たちがベースになってくれたら、 将来的には小松市民病院や高松病院の外来の患者さんで、こういうところに入れたいという人が積極的に言ってくれれば、多分彼らが受け入れてくれるので、そういうグループを作ろうと思っています。

もう一つは、今やっている人が計画しているのですが、
将来的には畑の近くに家と言うか、 アパートを借りるなり、造るなりして、
受け入れたいというのが在ります。
そのために誰がどうするかということになって、
実はこれはホームページができ上がっています。
心田開発というところのホームページを調べれば見ることができます。
ホームページを作ってくださったのが外来の患者さんで、
そういうプロがいて作ってくれています。
だから、僕はあまり口出ししないので「みなで勝手にやって」と言うと、
勝手にやってくれています。
これがどういうふうに発展するかは、
ひとえにそこに参加している人たち、それぞれの人に依ります。
それから、患者さんの芋を掘った感想が書いてあるので、それもご本人の許可をもらって、
「皆さんに配っていい?」と聞いたら、「いいですよ」と言うから、
そこにあるとおもいますけれども、それは患者さんの率直な気持ちです。
治療というのは、医療者が口出ししない方がいいのです。
医療者が言うこと自体が、問題になってしまうぐらいなのかもしれない。
いなければ困るし、過剰に干渉しても困るしというのが治療です。

・ご遺族掲載承諾平成23年11月 
・関昌家先生退職記念講演誌編集委員会掲載 承諾平成24年11月19日
・関昌家先生遺影
写真家大西成明氏「ロマンティック・リハビリテーション」
2008年6月 ランダムハウス講談社発行)より転載許諾
平成24年12月12日

※ うつ病、統合失調症といった過酷な身体状況を身に纏いながらも
現実を切実に生きる人々と彼らに向き合い支える医師、療法士、家族の人たちの日々を
リハビリ群像として真正面からとらえた、従来のリハビリ観を超えて
それぞれのひとの「夢見る力」が切り開いていく
「ロマンティックなリハビリ」というものが本当に可能なのか・・
この時代の「希望と再生の姿」を静かに語りかけた写真集

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